Moche(モチェ)
今回は「モチェ」の衣装を紹介します!「モチェ」は私たちの住んでいるラ・リベルタ県トルヒーヨ市にある街です。
モチェの紋章。街の風景が描かれています。 |
モチェのメイン広場
モチェには、モチェ文化の遺跡「太陽のワカ」「月のワカ」が有名です。モチェ文化とは紀元前後から700年ごろまで現在のペルー北部沿岸地域で繁栄した高度な文化で、北は現在のピウラ県、南はアンカシュ県まで広がっていたと考えられています。
太陽のワカ(Huaca del Sol)は、「アドベ」という日干しレンガで作られた遺跡です。セロ・ブランコ(Cerro Blanco)という小さな山の麓で、モチェ川の近くに位置しています。南北アメリカ大陸の古代遺跡の中でも最大級の遺跡で、この地にやってきたスペイン人の手によって一部破壊されてしまいましたが、それでもかなり巨大です。まだ発掘調査があまり進んでいないらしく、中で見学したりはできません。
この月のワカ(Huaca de la Luna)は、太陽のワカから500メートルほどの位置にあり、極彩色に塗られた美しい漆喰レリーフが特徴的な遺跡です。月のワカは発掘調査が進んでおり、中に入る事ができるため、多くの観光客が訪れます。この写真に映る山がセロ・ブランコです。
こちらは月のワカのレリーフの一部です。真ん中の顔はモチェの最高神だと考えられています。捕虜となった戦士がこの月のワカで、生贄にささげられたと考えられています。
そんな歴史ある街「モチェ」の衣装を二種類紹介します♪
まずはこちら!
半袖の白いネグリジェ(四角いネックライン)
白いアンダースカート
黒いスカート
ネグリジェやアンダースカートには花・葉の刺繍が施されています。刺繍は白以外の色を使う事もありますが、前回紹介した「モンセフー」の衣装とは違い、単色が多いようです。(単色しか見たことありませんがそういう決まりなのかは分かりませんでした)
上記の着こなしはモチェの「Diario」(ディアリオ)=『普段着スタイル』と呼ばれていて、前回紹介した「ワンチャコ」の衣装と似ています。ワンチャコもモチェもトルヒーヨ郡内の街なので、似ている部分があってもおかしくないですね。
そしてもう一つ「Fiesta」(フィエスタ)=『お祭りスタイル』と呼ばれる着こなしがあります。
ブラウス(四角いネックライン)
スカート
アンダースカート
このお祭りスタイルのブラウスやスカートには、モチェの衣装だけにみられる独特の刺繍が施されています。それは海、巻貝(渦巻き)、地平線に広がる丘をイメージしているそうで、この刺繍が入っているとモチェの衣装だと分かります。ドレスは現在様々な色で作られています。
モチェの衣装は四角いネックラインであることも特徴として見られます。
*麦わら帽子やスカーフは、今まで紹介した「ワンチャコ」「モンセフー」「モチェ」
のすべての衣装に組み合わせる事が出来るようです。小物や髪飾り、髪型等については別のブログで紹介したいと思います。
モチェを代表するダンサー
オルガ・フェルナンデスさん
下の写真に映っている女性、Olga Fernandez(オルガ・フェルナンデス)さんはモチェのマリネラダンサーとして有名です。それだけでなく、彼女はマリネラ界にとても大きな影響を与えた人物なんです!その与えた影響について、マリネラ界の歴史とともに紹介したいと思います。
オルガ・フェルナンデスさんと、弟のロナルドさん |
マリネラの世界大会(当時は全国大会)の始まりは1960年の11月、現在も世界大会を主催しているクルブ・リベルタが所有する敷地内の、バレーボールコートで行なわれた小さなコンクールでした。そこから毎年のようにコンクールが行なわれるようになっていったのですが、コンクールに参加する当時の人たちはどちらかというと裕福で都会に住む人たちが多く、その女性たちはショートブーツのようなものやヒールのある靴を履いて踊っていたそうです。なので、いわゆる「田舎の人」たちは「都会の人」たちのようにコンクールに参加するため、バレエシューズのようなペタンコ靴を履いて参加していました。そんな中、オルガさんは今から52年前の、第8回目のクルブ・リベルタ主催のコンクールで彼女は出身モチェの日常的な服装で「裸足」で参加しました。彼女は裸足でとても上手に踊り、観客の心を奪い注目を集めました。そこから、コンクールに参加する女性が次々にオルガさんを真似するようになっていき、そして現在のマリネラ・ノルテーニャ=女性は裸足というスタイルが確立されたのです!
それによって現在の、ブーツやヒールのある靴を履いては出来ないような”足技”の発展へと繋がったんですね。。。今の足技では、私はスニーカーでさえ重く感じます。。笑
ちなみに男性ダンサーは、踊りのスタイルによって革靴を履くか、裸足で踊るかが変わります。モチェのスタイルの男性は裸足です。
オルガさんはEscuela Mocheというスペインにも支部がある大きなマリネラ・スクールで講師としてマリネラの指導をしています。また、現在も現役で世界大会に参加しているダンサーでもあり、2019年度の世界大会ではなんと「ゴールデン部門」で優勝しています!
独特な踊りのスタイルをもつモチェ
モチェは衣装だけでなく、マリネラの踊り方にも独特な個性があります。
どの衣装を身に纏ったとしても、マリネラを踊る時は「喜び」や「情熱」を表現しますが、例えば他のスタイルを「セクシー」だとすると、モチェスタイルは「陽気」であったり、より「感情的」に踊ります。男女ともに姿勢を低くしたり、男性はより感情を体で表現しています。
以下の動画は、2015年度シニア部門のチャンピオンであるBilly Cajas(ビリー・カハス)さん と Angela Ferrari(アンヘラ・フェラーリ)さんの踊りです。動画の2:23秒あたりから、ビリーさんは上着と靴を脱ぎ、モチェスタイルで踊り始めます。その手前の踊りと比べてみるとスタイルの変化が分かると思います!
もう一つはモチェスタイルのペアの動画です!男女ともにモチェの衣装を身に纏っています。この曲はモチェのことを歌ったマリネラで、動画で踊っている男性ダンサーJeanpiere Villanueva(ジャンピエール・ビジャヌエバ)さんが作詞・作曲しています。彼は私たちと同じ「アダルト部門」で、何度もファイナリストとして決勝で踊っています。今年のコンクールでは惜しくも3位でしたが、優勝候補者であることは間違いありません。彼はモチェの出身として伝統的なスタイルを大切にしています。
以上、モチェの紹介でした♪
主な参考文献
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