多種多様な伝統舞踊の宝庫である国、ペルー。

私たちは2023年からペルー民族舞踊団【Ritmos y Matices del Perú】のダンサーとしてマリネラ以外の様々なペルーの民族舞踊も踊っています!

せっかくペルーの色んな踊りを学んでいるんだから、ブログでも紹介しないともったいない!!

ということで、始めたペルーのダンス紹介!

今回は私たちの住むラ・リベルタ州を代表する伝統舞踊の一つ
【コントラダンサ】をご紹介します!


コントラダンサ(Contradanza)とは

ペルー北部ラ・リベルタ州の山岳地帯、ワマチュコ地方(現サンチェス・カリオン郡)の伝統舞踊で、 植民地時代にヨーロッパで流行していた同じ名前の「コントラダンサ」という舞踊をスペイン人が踊っているのを見た先住民たちが、パロディとして模倣したものとして生まれた踊りとされています。

先住民たちは支配者層であるスペイン人たちの踊りを面白おかしくパロディとして模倣することで、スペイン人たち支配者層を嘲笑する手段を見出しました。

そのような成り立ちから、どこかコミカルでありながら力強いワマチュコ地方の伝統舞踊である「コントラダンサ」が誕生した。

というのが一般的に言われている物語です。


元々は男性だけの踊りで、力強く足を踏み慣らす踊りです。ただし今では女性も同様に踊ることも一般的です。


※ちなみにこのワマチュコ地方(同じサンチェスカリオン郡のSarínという街)は、私たちの愛する舞踊「マリネラ」の名付け親であるアベラルド・ガマラ(Abelardo Gamarra)さんの出身地でもあります。

ガマラさんも幼いころからこのコントラダンサを見ていたんでしょうか。


コントラダンサの衣装

コントラダンサの衣装はとてもカラフルでユニークです!

・太ももまでの丈のワマチュコ地方の伝統的なデザインのジャケット

・前つばが上がった麦わら帽子

・小さな鏡が付いた交差リボンのタスキ

・黒いズボンを膝までまくり、その上にカラフルで小さなスカート

・両膝につけた「マイチレス」と呼ばれる木の実などで作られた飾り(カラカラと音が鳴ります)

・肌色のストッキングに黒い革靴

・木製の剣

以上が一般的な衣装です。


©Ritmos y Matices del Perú


ペルー工科大学トルヒーヨキャンパスでの
フォルクローレイベントで
コントラダンサを踊ったときの写真

元々男性だけが踊っていたので
男女とも同じ衣装で踊ります。



コントラダンサの起源と歴史

コントラダンサとは、もともと17世紀から18世紀にイングランドで流行した民俗舞踊であるカントリーダンスが起源とされています。

それが17世紀末にフランス宮廷に紹介され、フランスではコントルダンス(contredanse)という名でヨーロッパ大陸でも普及しました。

18世紀初頭にはスペインにも伝わり、スペイン語読みの「コントラダンサ」としてスペインでも舞踏会などで広く親しまれるようになりました。

本来のヨーロッパのコントラダンサはこのような優雅な社交ダンスとして踊られていました。

そしてこの舞踊は当時スペインの植民地だったアメリカ大陸の各地にも広がっていきました。

ワマチュコ地方のコントラダンサは、植民地時代に導入された「ヨーロッパのコントラダンサ(コントルダンス)」にルーツがあります。これらの踊りがこの地域に広がるにつれて、アンデスの踊りのリズムやステップなどの先住民の要素が取り入れられ、混合されました。こうして、お祭り、宗教、象徴的な要素を統合した独特のスタイルが生み出されました。


コントラダンサの起源への疑義

一般的な俗説では、先述したようにスペイン人たちが踊る「コントラダンサ(コントルダンス)」を見た先住民が、スペイン人への反抗としてパロディとして模倣し、風刺・嘲笑したことからコントラダンサが生まれたとされています。

ただし、この俗説は歴史的・科学的な根拠がなく、16世紀当時の時代背景にも合致しているか疑わしく、学術的な方法論にも基づいていない。とする研究者の以下のような指摘があります。

「コントラダンサをスペイン人への風刺として捉える理論には、歴史的・科学的な裏付けがなく、16世紀の時代背景にも合致せず、学術的な方法論も採られていない。」

 ―Vera Basilio, P. O. (2021). El origen de la Contradanza. CULLE, 1(2), septiembre. Universidad Complutense de Madrid.


コントラというのはスペイン語で「対決」・「対抗」・「反対」・「~対して」という意味があり、ここから「スペイン人に対する嘲笑」や「対抗・反抗精神を表した舞踊」というイメージがつき、このような俗説となったと思われます。

実際はヨーロッパで既に「コントラダンサ」という名の舞踊があったので、俗説として一般的に語られている「スペイン人への反抗という意味でコントラダンサという名前が付いた」とするのは時系列が逆になってしまいますね。

学術的な見方をすると、コントラダンサはヨーロッパの宮廷舞踊と先住民文化の融合から自然発生的に生まれた、多文化的表現ではないかとする仮説が適当ではないかと個人的には感じています。

とはいえ、たとえ不正確かもしれない俗説であったとしても、ワマチュコ地方の人々がこの踊りを「被支配への反抗」という美しい物語として受け止め、自らのアイデンティティとして誇りをもって力強く美しく踊っていることには深い意味があります。

歴史的事実も大切ですが、それ以上に大切なのは、この地に生きる人々の誇りと、この踊りの美しさですからね。

©Ritmos y Matices del Perú


というわけで、私たちの舞踊団が踊るコントラダンサをぜひご覧ください!







以上、ペルーのダンス紹介第二弾でした!

次回もお楽しみに♪


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