2021年ペルー大統領選の決選投票まで、とうとう残り1週間となりました!
これまで様々な調査会社が世論調査を実施していますが、今回は最新の世論調査とこれまでの世論調査の推移、そして世論調査から見えるペルーの分断についてご紹介します。
支持率の推移
そして、今週末に各社が最後の世論調査を発表しました。(世論調査を発表できるのは投票日の1週間前まで、と法律で決まっているんです。)
これらは政策技術チームの討論会後の世論調査ですが、その討論会で世論はどのように動いたのか。
各社最新の世論調査までの推移を見てみましょう。
DATUM社
IEP社
数字上は依然カスティーヨ氏がリードしていますが、2%以内ということで両候補者は統計的に同率であるとも言えるでしょう。
討論会のたびにケイコ氏の支持が伸び、逆にカスティーヨ氏は支持を落としていることから、30日にアレキパ州で開催された候補者討論会の内容次第では、ケイコ氏の土壇場での逆転という可能性も見えてきました。
候補者討論会は、まさに結果を左右する天下分け目の戦いとなるでしょう。
世論調査から見えるペルーの分断
さて、各社世論調査では、地域別や社会経済レベル別等の投票意向も発表しています。どういった層が誰を支持しているのか、気になります・・・!
ということで、各社の結果を見てみましょう! まずは地域・地方別投票意向から。
DATUM社
5月25日~27日実施 模擬投票形式 |
5月27日~28日実施 電話調査形式 |
5月27日~28日実施 電話調査形式 |
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どの調査会社の世論調査でも、軒並みケイコ氏がリマでカスティーヨ氏を上回っており、リマ以外の地域ではカスティーヨ氏の支持が上回っているという結果です。
リマ 対 地方 という構図が顕著に表れていますね。また、特に 農村部や、南部と中部ではカスティーヨ氏の支持が圧倒的で、ケイコ氏の支持がかなり少ない…。笑
一言で地方と言っても、特に 南部・中部 対 リマ という構図が大きいようですね。(北部・東部は調査会社によって逆転)
南部というと、前回の2016年の大統領選でもケイコ氏が選挙キャンペーン中に生卵投げられたりと反フジモリ派が多い地域なんですよねー。笑(ちなみに今回もケイコ氏は、南部のクスコ州や討論会が行われたアレキパ州で、生卵やら、石やら、ペットボトルやら投げられたりしてました。笑)
ちなみにペルーは首都への一極集中がかなり進んでいる国でして、どれぐらい進んでいるかというと、ペルー人の実に約33%がリマ首都圏在住、つまりペルー人の3人に1人はリマ首都圏在住ということになります。(総人口約3262万人のうち約1080万人がリマ首都圏在住)
なので、ほとんどの地域でカスティーヨ氏が優勢でも、リマで圧倒的なリードを持っているケイコ氏と並んでいるという訳なんですね。
リマは南米でも屈指の大都市で、ペルー国内でもリマとそれ以外の地域とでは全く違う世界が広がっています。そのため、地方(特に農村)からリマへ移住する人の流れは後を絶たず、何もしなければ今後もこの流れは続いていくでしょう。この リマ 対 地方 という構図は今後もペルーが抱えていく問題となります。
では次に社会経済力レベル別ではどうなっているでしょうか。
※ペルーでは世帯の社会経済レベルをAからEの5つに区分しており、Aが最も経済力がある層でEが最も貧しい層です。
DATUM社
5月25~27日実施 戸別訪問面接調査 |
IEP社
5月27日~28日 電話調査形式 |
IPSOS社
5月28日実施 戸別訪問面接調査 |
どの調査でも、経済レベルの高い層ほどケイコ氏を支持しており、経済レベルが低い層ほどカスティーヨ氏を支持しているということがはっきり分かりますね。
ペルー時間の本日30日は、大統領候補者の討論会が実施されました。(討論会前にこの記事を書くつもりが、討論会後となってしまいました。汗)
この討論会が次のペルーの大統領を決めることになると言っても過言ではないでしょう。
そんな結果を左右するであろう討論会の様子は、後日ご紹介できればと思います!
以上、最新の世論調査&そこから見えるペルーの分断についてご紹介しました!
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大統領選の支持率に関する世論調査の分析レポート有難うございます。グラフで拝見すると一目瞭然、凄く判りやすいです。ペルー南部、中部、貧困層においてケイコ氏の人気が圧倒的に低いですね。中・南部の都市はほぼ全てアンデス地方にありますので農村部だけでなく都市部でも反フジモリ感情が強いのでしょう。アンデス地方の住民比率を見るとケチュア族やアイマラ族などの先住民の割合が高いと思いますが彼ら中には社会主義を支持する人々が多いのでしょうね。経済成長の恩恵を余り受けられずインフラ、医療、教育の遅れから社会主義の方が自らに有利だと考えるのでしょう。住民の民族構成が似通った隣国ボリビアを思い出します。2006年にモラレス氏が政権を握り今もその後継者であるアルセ大統領が支配する社会主義政権をペルー南部の人々は思い描いているのかもしれません。最終的にどちらの候補が当選するか現時点では全く判りませんがアレキパでの候補者討論会や翌日に行われた「アレキパからの民主主義への誓い」集会の結果がどのような影響を及ぼすのか興味深いですね。
返信削除rokkoimport様 コメントありがとうございます!
削除そうですね。経済成長の恩恵をあまり実感できず、貧困率も高い地域だと現在の経済モデルではなく大きな変化を求める人が多くなるのは仕方ない部分もあるでしょうね。今までの政治の責任は大きいと思います。(地方政府含め)
討論会もケイコ氏に有利になるものだったかとは思いますが、どこまで世論が動いたかは分かりませんね。「アレキパからの民主主義への誓い」集会も、個人的には正直インパクトに欠けると思いました。
一方6月1日に各地で実施された「反ケイコ」デモの方が直近では影響を与えているかもしれません。
このブログでは世論調査を追いかけてきましたが、前回2016年の大統領選では直前まで世論調査でケイコ氏がリードしていたこともあり、本当にどちらが勝つか予想がつかない選挙ですね。笑