ワンカバンバからトルヒーヨに戻った私たちは、間を置かずペルー南部の
「インカ帝国」の首都であった古都、Cusco(クスコ)に向かいました。
クスコに向かった一番の目的は、父の夢を叶えるため。それは
3泊4日でキャンプしながら
歩いて世界遺産マチュピチュに向かうこと!
これはインカトレイルと言って、インカの人々が実際に使っていた道であるQhapaq Ñan(カパック・ニャン)、通称「インカ道」とも呼ばれる道を約45㎞歩いてマチュピチュを目指す、というものです。
父は今まで何度もペルーに来ていましたが、マチュピチュには行ったことがありませんでした。
マチュピチュへは、列車でマチュピチュ村(旧アグアスカリエンテス村)まで行き、そこからシャトルバスで向かうことができます。マチュピチュを訪れる観光客のほとんどはこの便利なルートで向かいます。
しかし、父はせっかくマチュピチュまで行くなら絶対インカトレイルで行きたい!と長年思っていたそうで、私シンジと父の親子二人でインカトレイルにチャレンジしました。
※モニカと母は後日、マチュピチュで合流する予定
ということで、今回は知る人ぞ知るインカトレイルについて詳しくご紹介します!
インカトレイルに参加するには
父から、「2か月ほどペルーに行こうと思っている」という連絡をもらった時から
「絶対にインカトレイルに行きたいので、ツアーを予約しておいてくれ!」と頼まれていました。
そう。インカトレイルに参加するには、まずは早めの予約が重要なんです!
というのも、インカトレイルは世界でも最も有名なトレッキングの一つで、世界中から多くの方が参加します。
インカトレイルで歩く「インカ道」は、国立公園として1日当たりの入場者数がガイドやスタッフも含めて1日500人に制限されていて、厳しく管理されているため、時期にもよりますが、予約はかなり先まで埋まっていることが多いんです。なので思い立ったらまずは予約することが肝心です!
自分も父に頼まれてからネットで色々と調べてみたのですが、沢山の会社がツアーを催行していて、どこを選ぼうかと正直かなり悩みました。
そこで、実は以前からクスコで旅行会社を立ち上げられている日本人の方をTwitter(現X)でフォローしていたので、その方の旅行会社UKHU TRAVELさんに相談させていただきました。
すると、すぐに「信頼できるトレッキング専門のオペレーターをご紹介できますよ」とご連絡いただきました。
インカトレイルは催行できるツアー会社に厳しい条件があるらしく、限られたツアー会社しか催行できないそう。
その中で信頼しているトレッキング専門の会社をご紹介してくださるということなので、それならぜひ!ということでUKHU TRAVELさんにお願いしました。そして、結果的にお願いして大正解でした!
UKHU TRAVELさんが間に入ってくれて、安心して連絡も取り合えましたし、ネットで何件か探していたところより少し安く、そして結果的に内容も大満足なものになりました!
UKHU TRVELさんおすすめです!
クスコへの旅行を考えておらえる方はぜひ連絡してみてください!
さて、予約も無事に済んだらあとはクスコに向かうだけ。
私たちはインカトレイルの出発の3日前にクスコに着きました。
というのも、出発の2日前にはガイドさんから様々な注意事項や、持ち物の最終確認を行うためのブリーフィングがあるんです。2日前というのは、何か不足していたら対処できるようにするためと、2日前までにはクスコに来ておいてね。ということだと思います。
インカトレイルはめちゃくちゃ厳しいトレッキングではありませんが、最も高いところで標高4200mまで上がるので、一番恐ろしいのはなんと言っても「高山病」です。
そのため高度順応しておくことがとっても重要です。
体力や標高に不安がある方は、余裕があればもう少し前にクスコに来ておくほうが良いのかもしれません。
1週間前にクスコに来ておいて、先にマチュピチュ以外の観光地を楽しんでからインカトレイルに臨む、というのもいいかもしれません。
※ちなみにクスコの標高は3400m、富士山山頂は3776mです。
私たちは高度順応のため、クスコに到着してからクスコの街中を歩き回りました。
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ホテル近くのサン・ペドロ市場で朝食。 朝食は毎回ここのシンプルなサンドイッチとフルーツジュースでした。 |
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注文したら作ってくれる新鮮なフルーツ100%のジュースとサンドイッチ |
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「インカ帝国」で最も重要な建物と言われるコリ・カンチャ(太陽神殿) |
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スペイン人によって破壊されて現在はサント・ドミンゴ協会という カトリックの教会になっていますが 基礎部分にはインカ時代の精巧な石組みが残っています。 |
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内部は博物館として見学ができます。 インカの時代には内部は数多くの金で飾られていたそうです。 |
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石組みが本当に精巧で綺麗です。 |
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綺麗な衣装♪ 奥に3つの聖像が見えますね |
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撮影をお願いすると、皆さん快く応じてくれました♪ |
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面白いマスクです。 このマスクを着けた人たちは、必ず裏声で冗談ばかり話していて面白いキャラを演じているのが興味深かったです。 |
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様々な衣装があって、見ているだけで面白いです。 ペルーは全国各地に様々なダンスがあって、旅行するたびに文化の豊かな国だと実感させられます。 |
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しばらくすると聖像の練り歩きが始まりました。 1753年にスペインからこの被昇天の聖母像が到着したことから コヤ地域の守護聖人として信仰を集めています。 |
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遺跡の展望台からの眺め クスコの街を一望できました。 |
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向かっている途中はかなりしんどそうでしたが 遺跡に着くと疲れも吹っ飛んだ様子の父。笑 |
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サクサイワマンはこのような巨石も駆使して作られた大きな建造物ですが、 その目的はよく分かっていません。宗教的な施設や軍事要塞といった様々な説があります。 ただ、少なくともインカ軍はスペイン人との戦いにおいて、ここを要塞として使用したことはありました。 |
これ以前からしっかりと持ち物の確認はありましたが、ここで最終的な持ち物の確認や注意事項等の確認をします。
参考までにインカトレイルに必要な持ち物としては
- パスポート原本
- トレッキング用の靴・ブーツ
- 寝袋
- 水筒
- 防水ジャケット・ポンチョ
- 防寒ジャケット
- 速乾性のTシャツ
- 動きやすいトレッキングパンツ
- 帽子
- 懐中電灯(ヘッドライトがおすすめです)
- 日焼け止めクリーム (SPF 35以上推奨)
- 虫除けスプレー(天然成分のものをお勧めされました)
- 洗面具と消毒アルコール
- 常備薬
- トレッキング用ポール(必要であれば)
- カメラ
- モバイルバッテリー
とかですかね。
トレッキング用のポールですが、トレッキング中はアップダウンがある道を歩くので、膝が心配な方はあると助かると思います。(特に長い下り道には助かると思います)
自分は使いませんでしたが特に問題ありませんでした。ただ父はトレッキングポールにかなり助けられたようです。
ポールやその他の装備を持っていなかったり、ペルーまで持っていくのが大変な場合は、ツアー会社に前もって言っておくと有償で貸し出ししてくれるサービスもあります。
他にも、クスコには販売&貸し出しサービスを行っているトレッキング用品店が多数ありますので、必要なものをクスコで購入、もしくは貸出しサービスを利用するという手もありますよ!
インカトレイルでは始まると最後まで携帯を充電することができないので、モバイルバッテリーは容量の大きなものを持って行ったほうがいいかもです。
自分は小さなモバイルバッテリーだけを持っていきましたが、使っているスマホが古く、バッテリーの持ちが悪いため、最終日のマチュピチュまでかなり充電がギリギリでした…笑
せっかくマチュピチュまで歩いたのに、写真やビデオが撮れないのはもったいないですからね・・・。笑
あと、ブリーフィング時に一人一つダッフルバッグが渡されます。これに寝袋や服などの荷物を最大5㎏まで入れてポーターさんに持ってもらうことができるんです。
インカトレイルではガイドさんに加え、シェフや大勢のポーターさんがテントや食料、そして私たちの荷物を持ってくれたりと、しっかりサポートをしてくれます。
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今回お世話になったINKAYNIツアーさんのインカトレイルマップ マチュピチュまでこのようにアップダウンのあるインカ道を歩きます。 |
インカトレイル初日
さて準備も万端に済ませ迎えた初日。
当日は朝早くにツアー会社の車がホテルまで迎えに来てくれます。
インカトレイルは通常、ほかのツアー客とグループで参加します。
※割高ですがプライベートツアーもあります。
今回私たちと一緒に参加したのはカナダ人のご家族5人。夫婦とお子さん3人の家族でした。
軽く挨拶を交わして、自己紹介をしていたら、このカナダ人家族とっても面白い人たちでした。
なんと彼ら、カナダから車で南北アメリカ大陸を縦断している最中とのこと…。
凄すぎる!!笑
とても感じの良い方々だったので、安心しました。
目的地に着く途中のOllantaytambo(オジャンタイタンボ)付近で朝食を済ませ、いよいよ出発地点(Km82)に到着!
ちなみにスタート地点で標高は2600mあります。
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ポーターさん達が荷物の準備をしてくれていました。 各ツアー会社ごとに色が割り当てられているみたいで 私たちのポーターさん達は黄色でした。 |
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ポーターさん達が準備する隣にはインカトレイル参加者のゲートがあります。 |
ゲートではインカトレイルに参加する人のパスポートを確認されます。
無事に通過できたら、いよいよインカトレイルがスタート!!
初日はアップダウンの少ない川沿いを歩くだけで、気持ちいいハイキングという感じ。
ガイドさんも「初日は準備運動だよ」と言っていました。
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スタート地点を越えるとすぐにある橋 |
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橋からの眺め 右側にはインカ時代の段々畑がありますね |
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しばらく歩くと川と違う方向へ。 最終日まで川は見納めです。 |
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ここは歴史保護区内ですが、制定以前からこの保護区内に住んでいる方が生活してらっしゃいます。 トレッカー向けの売店もちょくちょくありました。 |
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5kmほど歩くとLlacta Pata(リャクタパタ)という大きな遺跡があります。 ガイドさんによると、ここはクスコ方面とマチュピチュ方面・アマゾン方面を結ぶ交通の要衝で、貿易関係のセンターや関所的な役割を担っていた場所らしい。 |
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地面に寝転がりながらガイドさんの説明を聞きます |
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その後しばらく歩くと、お昼ご飯タイム ポーターさんが先回りして、テントと簡易トイレ、手洗い用の水を 用意してくれていました。 |
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テントの中はこんな感じ グループの皆でパシャリ♪食事はテンション上がりますね。 ちなみに、ご飯は毎食めちゃくちゃおいしかったです!! |
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途中、振り向くとウルバンバ山脈の最高峰「ベロニカ山」(標高5860m)が綺麗に見れました。 この山はケチュア語ではワカイ・ウィルカ(聖なる涙)という名で呼ばれ、この地域の人々の信仰を集める霊峰です。 |
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キャンプ場手前にあった休憩所。 こちらで生活されている方が、トレッカーやポーターさんのための休憩所を営んでました。 建物の中では様々なグループのポーターさんが 椅子に座ってテレビを見ながら休憩していました。 |
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その後少し歩くと、初日のキャンプ地Huayllabamba(ワイリャバンバ)に到着! 標高は2750m |
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素晴らしい景色のキャンプ地! |
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既に到着していたポーターさん達がテントを設営してくれていました。 テントにはエアーマットレスとエアーピローが準備されています。 預けた荷物を受け取って、まだ明るいうちに荷物の整理をしておきます。 |
キャンプ地では各々ゆっくり過ごしました。
このキャンプ地は小さな集落で、インカの時代から人が住んでいたそうです。
集落の家には土台だけインカ時代の石組みが残っている家があり、歴史を感じました。
翌日は朝早くに出発なので、おいしい晩御飯を食べてからすぐに寝ました。
※キャンプ地では必ず自分の持ち物を靴も含めてテント内に入れるのが鉄則。
というのも、この集落では家畜や犬が放し飼いになっていて、過去に靴を外に出したまま寝てしまったトレッカーの靴が片方だけロバのおもちゃになってしまったことがあったからだそうです。笑 他にもトレッキング用の靴は高価なものが多いし、念のためということもあるのでしょう。
翌日、朝5時半に起床し朝ご飯を食べます。
ちなみに朝は決まった時間にポーターさんが熱々のコカ茶をもってテントまで起こしに来てくれます。
このコカ茶がめちゃくちゃ美味しいんですよね。
準備して朝食を済ませたら、まだ薄暗いうちに出発!
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キャンプ地を出発してからすぐにコントロールがありました。 ここから先は本格的に入場が制限されます。 |
ちなみに、この2日目がインカトレイルの一番の難関。
というのも、最も標高が高い4200mの峠を越えなければいけないからです。
キャンプ地からだと1450m登るだけですが、標高のせいで酸素が薄く、かなりきつい!
自分にとってもそうですが、68歳の父には少々過酷なルートです。
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ガイドさんがインカトレイルのルート図を前に こっからめっちゃ登るからねーと脅してきます笑 |
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本格的な登り道が始まる前に、ガイドさんがコカの葉を皆に配ってくれました。 コカの葉はコカインの原料で、日本はもちろん他の国では栽培や所持が違法ですが、古来からアンデス文明では聖なる葉として重宝されました。 そのため現在でもペルーやボリビアでは嗜好品として 合法的に栽培され、使用されています。 コカの葉をガムのように噛むと疲労感の軽減や、空腹感を防いでくれたりして、高山病の予防にも効果的です。 味は少し青臭いお茶の葉って感じです。 ちなみにクスコのほとんどのホテルでは無料でコカ茶が飲み放題だったりします。 コカを直接噛むより、コカ茶のほうが美味しいです。 |
こうして、コカの葉を噛みながら4200mの峠を目指して登り始めました。
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越えなければいけない4200mの峠はこちら。 写真では伝わらないかもですが、かなり遠く&高く感じます。 |
キャンプ地を出発して約3時間で3800m地点にあるLlulluchapampaというキャンプ地で少し休憩。
こちらはトイレと売店がありました。
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おばちゃんが営む青空売店。 奥にはトイレがあります。 ちなみに売店は場所が場所なだけに、かなり割高です。お酒まで売ってましたが、こんな場所で誰が飲むんでしょうか。笑 |
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ここもキャンプ地らしいですが初日に ここまで登ってキャンプするグループもいるのかも。 とにかく景色が綺麗。 |
休憩したら、あとは4200mまでひたすら登ります。
ひたすらこのような道を登っていきます。途中からは父がかなりきつそうだったので荷物を持ってあげて、こまめに水分補給と休憩を取りながら少しずつ登っていきました。
休憩地点のLlulluchapampaから1時間半程で4200m地点Warmi Wañusqa(ワルミ・ワニュスカ)に到着!!
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グループの皆で記念にパシャリ |
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ガイドさんも込みで |
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親子で |
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ペルーの国旗を持って |
この峠の名前「ワルミ・ワニュスカ」とはケチュア語で「死んだ女性」という意味だそうです。そのためガイドマップでは英語でDead Woman’s Passと書いてあります。
ガイドさんはその名前の由来を、「昔ここでキャンプをしていた外国人トレッカーの女性が死んだからだよ」と説明していました。真相は分かりませんが、後で調べてみると峠の形が横たわる女性の顔のように見えるので、ずっと昔からそのように呼ばれていたみたいですね。
それにしても距離は大したことありませんが、この峠を登るのはさすがに疲れました。
実は、朝キャンプ地を出発してすぐの場所で、登るのをあきらめて上から下っていく人を見ました。
ガイドさんによると体調不良や高山病などで、登ることができずリタイアする人も結構いるそうで…。
そんな峠を68歳で登り切った父はかなり頑張ったと思います。途中めちゃめちゃキツそうでしたが、本当によく頑張りました!笑
とまぁ峠を満喫した後は峠を下ります
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思わず立ち止まって写真を撮りたくなる景色ばかりでした。 |
峠を1時間ちょっと下ると、2日目のキャンプ地Pacaymayuに到着!!
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標高はキャンプ地としては一番高い3580mです |
標高のわりに気温は温かかったんですが、水は冬の滝行かっ!てぐらい冷たかったです…
それでも修行僧になったつもりでしっかり体を洗いました。笑
無事に修行を終えた後は昼寝をしたり、ぼーっと景色を眺めたりとゆっくり過ごしてから晩御飯を食べて就寝。笑
この日の夜空は星がめちゃくちゃ綺麗で、外でぼーっと星を見ていたら流れ星も見れました。
こうして難関の2日目を終えました。
インカトレイル ~マチュピチュへの道~ その2につづく…
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