マリネラ世界大会も終わり、例年通りだとほっと一息するタイミングですが、実は約2か月後の3月23日に私たちが所属する舞踊団Ritmos y Matices del Perúの単独公演が迫っていました。
入団したばかりの私たちとっては初めての舞台です!
今回の公演のタイトルは
Al Golpe Del Cajón
(カホンを叩く音に合わせて)
ペルーはその地域的特徴から大きくコスタ、シエラ、セルバの三つの地域に分けられます。
コスタとは、ほとんど雨が降らない砂漠の広がる沿岸地域で、アフリカ人やスペイン人の影響を受けたダンスが多いのが特徴です。
シエラは、アンデス山脈の雄大な景色や豊かな自然が広がる山岳地域のことで、アンデス先住民の文化が色濃く残るダンスが特徴です。
セルバは、いわゆるアマゾン地域のことで、年間を通して暑く雨の多い熱帯雨林地域のことです。アマゾン先住民の文化のダンスが特徴です。
そして今回の公演はコスタと呼ばれるペルー海岸地域の様々なダンスがテーマの舞台。
タイトルにもなっているカホン(Cajón)とはペルー発祥の打楽器で、コスタ地域で発展したクリオージャ音楽(※)には欠かせない楽器なんです。
※クリオージャ音楽とは、コスタの都市部で発展したヨーロッパ、アフリカ、アンデスといった様々な音楽の影響を受けたペルー音楽のジャンルです。クリオージャ音楽の中にはアフロ・ペルーという様々な黒人音楽や、Vals(ワルツ)やPolca(ポルカ)といったスペインの影響を受けたヨーロッパ音楽もあれば、私たちが踊っているマリネラもクリオージャ音楽の一つです。クリオージャ音楽と一言で言っても多様な音楽を指す言葉であるため、いわゆる「ペルー音楽」と言い変えても過言ではありません。
私たちが12月に舞踊団に入団してから、すでにこの3月の公演に向けての練習が始まっていました。
舞踊団では公演に向けての練習が始まると、すべての演目の振付を全員で練習します。
すでに舞踊団の振付けがあるものは、その振付けを全員で確認します。私たちのような新人は先輩方に振付けを教えて貰います。
とても助かったのは、全員が出演の座を争うライバルにもかかわらず、皆さん振付やコツを嫌な顔一つせず私たちに一生懸命教えてくれること。
「ダンスは競争ではなく共有するもの」という文化が根付いていて、皆さん一生懸命私たちに振付けや動きのコツを教えてくれました。
決して足を引っ張るのではなく、振りが分からない人やうまくできない人がいたら、各自で教え合って共有するというこのグループの文化に居心地の良さを感じました。
新しい振付けはディレクターが前でひとつずつ実演し、目で見て覚えていきます。
そういった振付けの練習が一通り続いた後、誰が公演で踊るのかを決めるキャスティングが行われます。
キャスティングの方法は、全員で音楽に合わせて振付けを踊り、ディレクター陣が誰を踊らせるのかを見定め、音楽が止まった後にディレクターから名前が呼ばれると合格、という具合です。
さて、今回の公演での演目は
・Cuadro Criollo(クワドロ・クリオージョ)…スペインの影響を受けたヨーロッパ風ペルーダンスのメドレー(今回はペルーワルツとポルカ)
・zapateo Criollo(サパテオ・クリオージョ)…アフリカ文化の影響を受けたペルー版タップダンス
・Festejo(フェステホ)…アフリカ文化の影響を受けたアフロペルーを代表するダンス
・Afro(アフロ)…黒人奴隷の怒りや悲しみと憎悪、そして自らの存在とルーツを力強く表現するダンス
・Tondero(トンデロ)…ペルー北部ピウラ州のペアダンス、白いハンカチをもって愛情を表現するマリネラに似たダンス。 マリネラよりももっと愛情表現が直接的で豊かなのが特徴。
・Toro mata(トロマタ)…リマから南に150kmほどのカニェテという地域で生まれた黒人文化の音楽とダンス。
・Festejo moderno(モダンフェステホ)…現代風にアレンジしたバージョンのフェステホ
・Landó(ランドー)…アフリカ文化の影響を受けたダンス
・Marinera Norteña(マリネラ・ノルテーニャ)…トルヒーヨと言えばこれだけは外せません。私たちが愛するマリネラが大トリです。
これらのうち、サパテオ(クリオージョ)とアフロ以外は前から舞踊団の振付けがあるので、古株のメンバーから振りを教わりながらキャスティングの日を迎えました。
結果、シンジは
・サパテオ・クリオージョ
・アフロ
・トンデロ
・マリネラ
モニカは
・アフロ
・トンデロ
・現代風フェステホ
・マリネラ
のメンバーに選ばれました!
マリネラだけは自信があるので新人とはいえ絶対に選ばれたい!と思っていましたが、他のダンスにも選ばれてびっくり&嬉しい!!!
ただ、一度キャスティングされたといっても出演が確定されるわけでなく、実際にメンバーで振付けを踊っていく段階で何度もミスしたり、練習に欠席したり、ディレクターが納得しない踊りをしていれば他のメンバーと交代ということもよくあるらしいので、外されないように家でひたすら振付けの練習をしてました。
練習では振付とフォーメーションの確認をしていって、できない人がいるとディレクターから厳しく喝が入ります…。笑 うちのディレクター普段はめっちゃいい人なんですが、ダンスにはかなり厳しい真面目な人で、特に公演前には激しい喝に涙を流す人もちらほら…笑
部活を思い出すような厳しい環境で最初は少し驚きましたが、皆が本気でいい作品を作ろうと努力している環境に感動しました。
特に感動したのは、選ばれていない人たちもその練習時間に各自で振りとフォーメーションを確認し、いつでも自分が代わりに入れるように準備をしているという意識の高さ。
出演の席を巡って皆がある意味ライバルとなる訳ですが、皆で足の引っ張り合いをしたりはせずに、キャスティングされた人には笑顔で祝福して、それでもいつでも自分にチャンスが回ってきた時のために準備をしておく。
みんなで仲良く楽しくだけのグループではない、こういった健全でプロフェッショナルな環境がとても気に入りました。
私たちはマリネラには自信がありましたが、それ以外のダンスは初めての挑戦だし、選ばれていないメンバーも必死に練習しているので、かなりのプレッシャーでした。ただ、そのおかげで本気で取り組むことができましたね。
そして本番が1週間に迫った週は練習が毎日ありました。
このあたりだと常に緊張感が漂う環境で、同じミスを繰り返したり、上達が見られなかったりする人がメンバーから外されるということがちょくちょくありました…笑
そして本番2日前の木曜日からは、毎日本番と同じ衣装を着けての本番同様の全体リハーサルを行います。
本番では連続で踊らなければいけない人などが衣装を早く着替えたりする必要があり、その段取りを何度も確認するために木曜日から本番当日までの3回の練習では衣装を着ての本番さながらのリハーサルを行いました。完璧主義者のディレクターの徹底っぷりには驚きました。笑
本番で気づきましたが、この衣装を着てのリハーサルは本当に大切でした。
自分がどれくらいで着替えられるのか、時間ギリギリの人は誰で、誰がその人を手伝うかが明確になったので、本番当日は慌てずに済み、踊りに集中することができたからです。
さて、迎えた本番当日
会場はトルヒーヨ市立劇場。1876年に完成した148年の歴史を持つ由緒ある劇場です。
公演は夜7時からですが、当日は朝9時に集合し、10時から位置の確認や照明などのリハーサルと衣装を着ての本番同様の最終リハーサルを行いました。リハーサル前に全員でパシャリ |
記念に二人でも♪ |
本番同様の全体リハーサル終了後は自由時間。
素敵なメッセージとディレクターが世界大会に応援に来てくれた時に 私たちと一緒に撮った写真が貼ってありました。嬉しい♪ 一生の宝物です♡ |
そした始まった本番。客席は超満員で、立ち見が出るほどでした!
というわけで私たちのデビュー公演をちょこっとご紹介♪
サパテオ・クリオージョ |
アフロ |
トンデロ モニカが主役に大抜擢され、見事に踊り切りました♪ | ||
中央で男性を踏んでいるのがモニカ、左から2番目のペアの男性がシンジです |
めっちゃカッコいいToro Mata(トロマタ) |
衣装もダンスも音楽もかっこよくて、いつか踊ってみたいダンスです |
お気に入りの写真♪カッコいー!! |
そして最後はもちろんマリネラ! |
たまたま私たち二人がペアになりました♪ |
マリネラはやっぱり一番自信をもって踊れました |
超満員のお客さんからの拍手はめちゃくちゃ気持ち良かったー!! |
公演後ディレクターのHugo(ウゴ)と ダンスに熱く、真面目な人でめっちゃ尊敬してます。 マリネラしか知らない私たちを受け入れてチャンスをくれたウゴには感謝しかありません。 |
とまぁ私たちの舞台デビューはこんな感じでした!
最後に公演のダイジェストがyoutubeに上がっていたので、よかったらご覧ください!
Al Golpe Del Cajón - Ballet Folklórico Ritmos y Matices del Perú
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